坂田 一郎

(工学系研究科 ネットワーク科学)

「企業同士のつながりとイノベーション活動―数十万件のつながりの分析から―」

予習文献

・M.Granovetter, “The impact of social structure on economic outcomes”, Journal of Economic Perspectives 19(1) (2005)pp.33-50.

・Y. Takeda, Y. Kajikawa, I. Sakata, and K. Matsushima, "An analysis of geographical agglomeration and modularized industrial networks in a regional cluster: A case study at Yamagata prefecture in Japan", Technovation 28 (2008) pp.531-539.

・坂田一郎・梶川裕矢「ネットワークを通して見る地域の経済構造-スモールワールドの発見」『一橋ビジネスレヴュー』56巻5号, 2009, pp.66-79.

越塚 登

(情報学環・学際情報学府 IoT: Internet of Things, Smart City)

「IoT(Internet of Things):あらゆるモノの「つながり」を構築するデジタル技術」

予習文献

講義後情報コーナー

履修者のレスポンス抜粋

・今回の講義テーマは、「つながりの束」であるネットワークを工学的に調べることでどんな知見が得られるか、ということであった。特にある地域内での企業間ネットワークを分析した事例がいくつか紹介された。例えば浜松の産業構造のネットワークからは、異なる領域の企業が共有する、密度の高い小規模な企業間の取引ネットワークがあることがわかった。このようにネットワーク分析から得られる知見の興味深さには「つながり」に相当するリンクの寄与が大きいように思えた。ノードに相当するもの、例えば企業などはそれ自身が単体で興味の対象になりやすいが、つながりを単独で調べることは少ないし、それをしても得られるものは少ないだろう。しかし大きなデータを集めてネットワークの構造に持ち込むことで「つながり」から新しい知見を引き出すことができるというのは面白い。つながりについて考える上で、束にして考えるのが一つの有効な方策であると学んだ。(工学部システム創成学科Cコース3年)

・今回の話を聞いてネットワークモデルを構築して、情報を再提示することで解釈の視点さえも変わると言うことを実感できたのは面白かった。自分達の班で学生と授業関係に関するネットワークモデルを構築したが、話を進めていく中で学生が新しい知見を得ることを目的に提案されたネットワークモデルが学生のみならず教員が新しい知見を得ることに貢献していると言うこともわかり感動した。ネットワークモデルとして図式化することによって対象を網羅的に把握することができて、視点を変えて対象を変えてみようと考えるだけの余裕が生まれたように感じた。

一方でネットワークモデルを構築することの難しさも感じ、モデル化して単純化することの危険性も実感できた。話を進めていく中で自分達の作っていったネットワークモデルは、現状を適切に表現できていないことに気づき、立体型にして問題を捉え直す方が正確だと気づきモデルを考え直すことになった。今回は授業後のグループワークであったが研究などで使用する場合は実態を正確に表せるように構築しなければいけないと感じた。(文学部社会学科3年)

・ネットワークから知見を抽出するというお話を聞き、目からうろこでした。特に、東日本大震災後の復興においてネットワーク分析をもとに企業グループごとの復興を考えるというお話は面白かったです。新時代における地域の重要性というお話ではつながりで形成されたクラスター、繋がりがもたらす波及効果の大きさ、知識集約化のインフラとしてのネットワークとネットワークから地域特性を取り出そうとする方法が印象的でした。最後の討論ではサッカーのネットワークと月並みな議論になってしまいましたが、ネットワークととらえることで新たな発見につながるものは多いのではと感じました。議論の中では、ネット通販での商品の閲覧履歴、受験問題など様々な意見が出ました。また、リワイアリングの話題としてリニア中央新幹線には期待したいと感じました。(工学系研究科社会基盤学専攻修士1年)